鹿児島県肝属郡東串良町
JA鹿児島きもつきピーマン部会の副部会長
門田博文様・恵子様
<圃場DATA>
作物:抑制ピーマン 栽培面積 20aをご夫婦2名で栽培
作型:8月上旬は種 9月上旬定植 9月下旬より5月末まで収穫
目標収量:20t(現在平均18t)
以前、土壌消毒では臭化メチルを長年使用してきていたのですが、平成24年度、臭化メチルの使用が全廃されると聞いて、なんとか代替え剤を見つけなくては、と思い、平成22年度から数種類の土壌消毒剤を試していたんです。
その中で、臭化メチル以上の効果がみられたのが「クロピク錠剤」だったんです。
いまではすっかりクロピク錠剤にお世話になっています。
液剤のクロピク剤は、劇物として怖いイメージが強かったのですが、このクロピク錠剤については臭気の問題もなく、安心して処理できました。
生産者にとってはとても取扱やすく、ありがたい剤です。
臭化メチル全廃の数年前より処理量が減らされ、地区の部会では青枯れ病など土壌病害が多発してきていました。
その中で、土壌病害が一度発生すると作物栽培に支障きたすため“予防”を目的とした畝処理を実施しました。
おかげさまで土壌病害の発生もなく順調な栽培ができています。
また、土壌消毒することにより根の発育も良くなるとともに、樹勢も安定し安定増収につながっています。
部会では、約50haのピーマンを栽培されていますが、病害発生圃場は当然だが95%以上の農家が予防を目的とした処理を実施し、安定生産につながっているようです。
「予防が一番!」と強く言われていましたが、本当にそうだと実感しています。
病害抑制・生育の安定に伴い安定した収量が得られるようになりました。
とくに、錠剤を処理した圃場と未処理圃場では、他の病害の発生・生育に大きな差が出ましたね。
まず、コスト面ですが、予防的な使用方法の畝処理だと以前使用していた臭化メチルとほとんど変わらないのですが(10a当たり6万程度)、病害が発生した圃場の全面処理となると、若干コストがかかるので注意が必要です。(10a当たり12万)
本音を言えば、他のピーマン産地へ普及すると、安定収量・増産につながるのであまり普及しないでほしいですね。(笑)
伊勢崎市赤堀今井
JA佐波伊勢崎トマト利用組合
写真右:秋間 則人様
写真左:営農指導員 新井様
<圃場DATA>
作物:促成トマト 栽培面積:3457㎡(内クロピク錠剤処理区20r)
作型:促成栽培 購入苗8月下旬定植 6月上旬まで収穫(20r)
収量:40t/20r
「無加温促成栽培 購入苗2月定植 7月中旬まで収穫(1457㎡)」
例年ネコブセンチュウや土壌病害の対策DC剤(センチュウ剤)、バスアミド剤などを使用していたのですが、2年前にトマト立枯病(フザリウム菌)が発生し、次作の土壌消毒はデイトラペックスを処理したのですが、またトマト立枯病が発生してしまいました。
そこでJAに相談したところ、クロルピクリン錠剤を勧められました。
クロルピクリン錠剤は、フザリウム菌には防除効果が高く、しかも錠剤の使用は液剤より取り扱いが楽、ということでしたので、ぜひ使用してみたいと思ったのがきっかけです。
まず、撒き易かったことがいちばんですね。
また、土壌を乾燥(水分10%以下)させておくので、作業中にガスの臭気が無いので使用者の安全も確保できました。
昨年のトマト立枯病の被害発生は偏って発生し、定植本数の約1〜2割の発生が見られましたが、クロルピクリン錠剤を処理した後は全く発生は見られず、防除効果を実感できました。
また、他の土壌病害も無かったですね。
センチュウ剤DC剤を使用しましたが、例年だと線虫の被害は少し見られるのですが、今回はクロルピクリン錠剤の効果があったのか、線虫の被害はありませんでした。
雑草の発生も抑えられており、雑草にも良く効いているように思います。
「予防が一番!」と強く言われていましたが、本当にそうだと実感しています。
例年よりも大玉の割合が多いなと感じます。それと樹勢のバランスも良く、生育が安定していますね。
効果が良い反面、10アール当たりのコスト(約12万円)が高いかなとは感じます。
でも、収穫末まで安定した生産が期待できるのであれば、来年作でもぜひクロルピクリン錠剤は使用したいですね。
確かに見かけ上はコストが高く見えますが、トマト立枯病をしっかり防除してくれるのであればクロルピクリン錠剤の価値を実感できると思います。
処理前に土壌を乾燥させたので、定植時の潅水に少し手間取りましたが、センチュウに対する効果については、DC剤を使用しなくても良いというのはありがたいことだと思います。
(ネコブセンチュウの多発条件下の効果試験を平成29年に予定)
JA佐波伊勢崎トマト利用組合の栽培も10数年に及び、連作障害的な土壌病害の発生も見られるようになり、数年前からトマト立枯病の発生が数件の生産者から寄せられ、この対策に苦慮していました。
たまたま、JA佐波伊勢崎・あかぼり営農センターに南海化学の担当者の往訪があり、なすの半身萎凋病の防除については、クロルピクリン錠剤の効果を聞いていたので、トマト立枯病の防除に使用を勧めてみました。
コスト面を抑えるためには、被害発生が抑えられた圃場については、病害発生部分処理を予防で行う方法もよいのではないかと考えています。
JA佐波伊勢崎・あかぼり営農センター 営農指導員 新井 学